一週間ほど地中海のコルシカ島という島に行く機会に恵まれた。
日本ではイタリア語のコルシカという名前が一般的だけど、フランス語ではコルス(発音は殆ど”コース”に近い)と呼ぶ。
空港も複数あって飛行機で行くことができるが、今回は南仏マルセイユからクルマで乗り込む夜行のフェリー、コルシカリネアで行った。
コルシカ、ざっくり言うと
夕方5時頃から乗り込み、翌朝に現地到着となる。酒盛りして寝落ちすれば、翌朝到着となるザ・夜行だ。
ウィキペディアによれば広島県ほどのサイズということだが、何しろ急峻な山岳だらけの島なのである。温暖な地中海の真ん中にあって冬はスキーができる。それもそのはず最高峰は2700mあり、その他にも2500m級が続々と連なる、ということなのだ。
食べものは地中海の島だからシーフード、となりそうだが実は畜産、乳製品(主にチーズ)などが主流だ。ブドウ、オリーブももちろん栽培されるが、山地が大方であるので、栗が名産である。
さて、今回は特にコルシカ観光ガイドを書き留めておきたいわけではない。
サラミはイタリア語
サラミ(ソシソン、Saucisson)が美味かったので記録に留めておきたい、ということなのだ。
サラミ、はイタリア語源であるらしい。 フランス語圏ではソシソンという。日本ではサラミというのが一般的だから、そのレシピはイタリア風のものが多いのかとも思う。
子供の頃、父親の晩酌の一番手といえばこのサラミとキリンビールであった。週末相撲中継をTV桟敷で鑑賞しながらの晩酌である。 この時一切れか二切れかおこぼれにあずかるのが最高の楽しみであった。 サラミの原体験である。
本場のサラミとは?
なのでサラミは大人になっても大好物のままなのだが、欧州に住み着くようになってその価値観は一変した。何しろ美味い。日本のサラミと比べたらアカン。 同じものではない、絶対にナイ。
そしてフランスに住み着くようになり、さらにスーパーマーケットなど大量生産品ではなく、少量個人生産者直売品や農家の手作りおすそ分け品のソシソンを食すにつけ、されに舌は肥えていくことになった。 圧倒的に美味い、クオリティが高い。子供の頃食べたソレとは全く違う食べものである。
主流は豚肉が使用されているが肉と脂の旨味が凝縮されている味はだれにでもわかりやすく、日本で子どもたちが好物は何かと聞かれたら、スシ、スシと笑顔で唱えるのと同じように、こちらでは子供たちがソシソン、ソシソン、と嬉しそうにしているのをよく見かける。
でこいつは造り手によって様々な味になる。肉、脂の配合、部位、調合するスパイスによって変わる。中にはナッツ類を入れたり、キノコのたぐいが入ったり、まあ場所、生産者によって様々である。その違いを味わうのが楽しむコツではある。
個人的にはしっかり乾燥してカッチンコッチンになったくらいのモノが好みだが、まあどれも自分にとっては総じて美味い。
コルシカのソシソンの味は?
さて、話はこのコルシカ島のソシソンであるが、まあ当然のように美味かった。
当然スーパーマーケットなどでは買わず(スーパーマーケットに美味いものがある時もあるけれど)、生産者直売の小さな売店を見つけそこから入手。山羊農家、ということであった。(山羊のチーズはフランスでは普通に食べられている。)といって、ソシソンが山羊の肉、でできているわけはなく豚肉製。
でその外側の色、であるがこれは生産者、場所、レシピなどにより千差万別だ。どの色が良いなどという話は聞いたことがないが、山地で作られているものはこのような色のものが多いと思う。一瞬タジログ色合いだが、コイツがうまい。
中を見ればこのとおり。
フランス本土でも盛んにソシソンは作られているので、コルシカの方が圧倒的にうまい、といったことはないのだが、キチンと美味しい。広大な山地で育てられている原料となる豚が美味いのではなかろうか。これと赤ワインがあればそれだけで幸せになるのは間違いない。
玄関口都市であるアジャクシオから1時間半ほど南に行ったサルテヌ(Sartène)という山間の町で買った。
しっかり美味かったので宿泊先で皆でキチンと平らげてしまい、お土産のため再び買いに戻ったくらいである。
まあ、ソシソン以外にも美味いものはたくさんあるのだが、万人に愛される酒のつまみのひとつということで紹介したかった。